辞令は、会社から発令される転勤や部署の異動、解雇などの重要な通知です。

辞令には法的に拘束力があるわけではないので、辞令書の発行は会社で慣例的に行う文書です。最近のベンチャーや中小企業では、特に辞令書を発行しない企業がほとんどです。

この記事では、wordの辞令書テンプレートと書き方を紹介します。一般的に辞令が行われる、部署異動、転勤、解雇などの例文サンプルがあるので参考にしてください。

辞令書テンプレート(word)

wordで作成した辞令の書式テンプレートです。文書の内容は一般的な書き方にしています。

会社によっては、文章の語尾を「ですます調」でなく命令形しますが特に正解はないので自社に合う形にしてください。本テンプレートでは、サンプルの為「ですます調」「命令形」の両方が混在しているので注意してください。

また、宛先を「殿」で統一していますが会社によっては、宛先を「様」にしたり、敬称をつけない場合もあります。特に書式に決まりはないので、会社の規定に沿って使用します。

異動辞令(横書き)

部署や課の異動に使う辞令の例文テンプレートです。A4縦の用紙で使用します。

 
〇年〇月〇日付をもって営業推進部勤務を命じます。

異動の辞令(縦書き)

部署などの異動の場合に使う書式テンプレートです。A4横の用紙で使用します。ワードでは縦書きにする際に、数字の向きを変える方法が特殊なので注意してください。

 

転勤の辞令

転勤時に使用する辞令書のワードテンプレートです。余計な文言は必要なく、決定事項だけを簡潔に伝えます。

 
〇年〇月〇日付をもって大阪支社勤務を命ずる。

解雇通知の辞令

解雇通知の辞令書テンプレートです。即日解雇の場合の文例なので、労働基準法第20条の規定で、30日分の給与を支払うという文章になっています。

解雇時の書式は、なぜ解雇なのかという理由を明記しなければなりません。理由があまいだと労働者から不服の裁判で不利な状況に陥ることもあります。

 
当社は、このたびの貴殿が起こした飲酒ひき逃げ事故が、当社就業規則〇条〇号に違反するとともに、当社の信頼を大きく損なう行為と判断いたしました。
 よって、貴殿を〇年〇月〇日付で懲戒解雇することを通知します。
 なお、労働基準法に従って、解雇予告に代えて30日分の平均賃金〇〇円を、本日、貴殿の給与振込口座に送金致します。

解雇予告通知の辞令

解雇予告通知の辞令の書式テンプレートです。こちらは、予告なので30日後に解雇するという文章になっています。

サンプルの例文は、飲酒ひき逃げという重大な不祥事が理由ですが、別の事例であっても解雇の理由は明記してください。

 
このたび、当社就業規則〇条〇号に基づき、貴殿を〇年〇月〇日付で解雇することとなりました。
 なお、本通知は労働基準法第20条の定めによる解雇の予告通知といたします。

懲戒処分通知

就業規則に基づいて懲戒処分を行う場合の辞令です。損害の理由は「会社に損害を与えた」となっており、処分内容は課長から主任への降格ですが、実際の処分内容に変更して発行してください。

 
このたび、当社就業規則〇条〇号に基づき、貴殿を次の処分とします。

1.懲戒理由 〇月〇日 ○○によって会社に損害を与えたため
2.処分の内容 降格 開発部課長から開発部主任に降格する

以上 

転籍の辞令

転籍の辞令書です、発令者は人事部長や代表取締役など会社によって変更してください。

 
〇〇年〇〇月付をもって、○○の任を解き、同日付で××へ転籍を命ずる。

出向の辞令

別の会社への出向を命じる場合の辞令書です、現在所属している会社の任を解き、別の会社へ出向するという内容を記載します。

 
〇〇年〇〇月付をもって○○部〇〇課主任の任を解き、同日付をもって株式会社××へ出向を命ずる。

復職の辞令

出向の任を解き、自社へ復職させる場合の辞令書です。

 
〇〇年〇〇月付をもって株式会社××××出向の任を解き、当社××××部 所属を命ずる。

給与辞令

基本給や手当を決定して通知する場合の辞令書です。実際に支給する額を列挙します。

 
〇〇年〇〇月度から、給与を以下のとおり支給する。

基本給 :〇〇〇〇円
〇〇手当:〇〇〇〇円
〇〇手当:〇〇〇〇円

降格の辞令

役職を下げる場合の辞令書です。サンプルでは、部長から課長へと降格する場合の例文が入っています。

 
〇〇年〇〇月〇〇日付をもって〇〇部 部長の任を解き、同日付で〇〇課 課長を命ずる。

昇格決定通知書

役職が上がり、昇格する場合の辞令書です。タイトルは昇格決定通知書になっていますが、辞令書でもかまいません。

 
〇〇年〇〇月〇〇日付をもって〇〇部 部長への昇格を命ずる。よりいっそう職務に励むことを期待します。

昇給辞令

基本給や手当が増える場合の辞令書です。給与辞令に似ていますが、昇給に対して一言添えてあることなどが違います。

 
〇〇年〇〇月度から、貴殿の給与を以下のとおり支給する。

基本給 :〇〇〇〇円
〇〇手当:〇〇〇〇円
〇〇手当:〇〇〇〇円
〇〇手当:〇〇〇〇円

今後も更なる精進を期待します。

配属決定通知

配属が決定したことを通知する辞令書です。

 
〇〇年〇〇月〇〇日付をもって〇〇部〇〇課勤務を命ずる。

採用の辞令

採用が決定したことに対する辞令書です。例文では、試用期間〇ヶ月があることも通知しています。

 
〇〇年〇〇月〇〇日付をもって社員として採用し、〇〇部〇〇課勤務を命ずる。ただし、入社後〇〇ヶ月間は、試用期間とする。

待機の辞令

懲罰などで労働者に待機をさせる場合の辞令書です。労働基準法で60%以上の賃金を支払うことも明記しています。

 
〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇年〇月〇日まで〇ヶ月間の待機を命ずる。
待機期間中は、労働基準法に規定する賃金の60%を支給する。

辞令とは

辞令とは、会社や組織において人事に関する内容を発令するときに示す文書です。会社では労働者に対して、人事異動や転勤、昇進などを命ずるときに辞令を使うことが一般的です。

様々な種類の辞令とその目的

辞令には、昇進、降格、転勤、任命など、様々な種類があり、それぞれ異なる目的を持っています。

昇進

昇進は、従業員の職務能力や業績を評価し、役職を上げることを命じる辞令です。従業員のモチベーション向上や、組織全体の活性化に役立ちます。

法的根拠
昇進は、労働契約法に基づき、企業が従業員の職務能力や業績を評価して行うことができます。

留意点
昇進は、従業員の同意を得なくても行うことができますが、事前に十分な説明や話し合いを行うことが望ましいです。

降格

降格は、従業員の職務能力や業績が低下したため、役職を下げることを命じる辞令です。従業員に改善を促したり、組織全体の規律を維持するために役立ちます。

法的根拠
降格は、労働契約法に基づき、企業が従業員の職務能力や業績が低下したことを理由に行うことができます。

留意点
降格は、従業員の不利益となるため、慎重に行う必要があります。事前に十分な説明や話し合いを行い、従業員の同意を得ることが望ましいです。

転勤

転勤は、従業員の勤務地を変更することを命じる辞令です。企業の事業拡大や人材育成などに役立ちます。

法的根拠
転勤は、労働契約法に基づき、企業が業務上の必要性などを理由に行うことができます。

留意点
転勤は、従業員の生活に大きな影響を与えるため、慎重に行う必要があります。事前に十分な説明や話し合いを行い、従業員の同意を得ることが望ましいです。

任命

任命は、従業員に特定の職務を与えることを命じる辞令です。新規プロジェクトの立ち上げや、役職の空席を埋めるなど、様々な場面で活用されます。

法的根拠
任命は、労働契約法に基づき、企業が業務上の必要性などを理由に行うことができます。

留意点
任命は、従業員の職務内容や責任範囲を明確にするために行います。事前に十分な説明を行い、従業員の理解を得ることが重要です。

辞令は拒否できない

辞令には法的な規定はありませんが、会社としての決定事項なので辞令を発令されると従業員が辞令を取り消したり変更を求めることはできません。

もし、どうしても辞令を拒否したい場合は会社をやめるしかありません。また、辞令は必ず文書を発行する必要はなく口頭でも有効です。

辞令の書き方

辞令には決められた書式や様式というのはありませんが、一般的に必要な書式はある程度決まっています。

日付や宛先、発行者(会社の代表者など)、辞令の詳細といった内容を盛り込みます。文言については、社内文書なので、挨拶などは不要で、シンプルに「〇〇勤務を命じます。」「〇〇に任じます。」などとします。

辞令の交付は、人事の重要な命令であるので間違いや誤字がないように複数人でチェックする必要があります。基本的な例文や書式については、この記事で紹介している辞令書テンプレートを活用してください。

辞令書の項目

辞令書のフォーマットは種類や目的により異なりますが、一般的には以下の項目が含まれます。

発行日
発令者
受命者
辞令内容
署名

ここでは、各項目の詳細な記入方法について解説します。

発行日

発行日は、辞令書を作成した日付を記入します。西暦で記入し、令和の場合は「令和〇年〇月〇日」と表記します。

記入例

2024年2月21日
令和6年2月21日

発令者

発令者は、辞令を発令する人の氏名と役職を記入します。役職名は正式名称で記入し、代表取締役社長の場合は「代表取締役社長 〇〇〇〇」と表記します。

記入例

代表取締役社長 〇〇〇〇
人事部長 〇〇〇〇

受命者

受命者は、辞令を受ける人の氏名と役職を記入します。役職名は正式名称で記入し、〇〇部長の場合は「〇〇部長 〇〇〇〇」と表記します。

記入例

〇〇部長 〇〇〇〇
〇〇課長 〇〇〇〇

辞令内容

辞令内容は、具体的にどのような人事異動や役職変更を命じるのかを記入します。昇進の場合は「〇〇部長を〇〇部長に昇進させる」と、転勤の場合は「〇〇部長を〇〇支店〇〇部長に転勤させる」と、任命の場合は「〇〇〇〇を新規プロジェクトリーダーに任命する」と具体的に記述します。

記入例

〇〇部長を〇〇部長に昇進させる
〇〇部長を〇〇支店〇〇部長に転勤させる
〇〇〇〇を新規プロジェクトリーダーに任命する

署名

署名は、発令者が自筆で署名または記名します。

記入例

代表取締役社長 〇〇〇〇(署名)
人事部長 〇〇〇〇(記名)

発令番号の書き方

辞令を発行するときに、発行を管理するために発令番号を付ける場合があります。発令番号は、自社でわかるように独自の番号をつければよく、日付をからめた通し番号をつけておけばわかりやすいでしょう。

例:2019年10月の1枚目 - 201910-00001

辞令書作成のポイント

・誤字脱字がないように注意して作成する。
・読みやすく分かりやすい文章で記述する。
・法令や社内規定に沿って作成する。
・必要であれば、弁護士に確認してもらう。

まとめ

辞令書は、会社や組織の人事に関する重要な書類です。辞令書自体に法的な規定はありませんが、会社の命令なので従業員が拒否することは基本的にできません。

フォーマットや例文に関しては、テンプレートを活用して自社に合うように改変して利用してください。