初めて念書を書くときは、どのように作成するのか、どこを注意すればいいのかわかりません。
そこで、今回は念書のテンプレートと書き方、注意点を紹介します。
念書テンプレート
実際の念書テンプレートは以下よりダウンロード可能です。ワード2013で作成していますが、docx形式が利用できれば、その他のバージョンでも使用可能です。
一般的なテンプレート
例文なしの白紙の念書のテンプレートです。
念書に必要な項目だけ記載してあるので、内容と記載事項だけ埋めていけば念書が完成します。フォントは、約束事項なのでゴシックよりも明朝系の固い方が合っています。

就業規則違反時の念書
会社における就業規則違反の際に使用される例文テンプレートです。
就業規則に違反して反省している旨を真摯に伝えます。

深く反省し、今後このような過ちを繰り返さないよう厳しく自分を律し、就業規則を厳守することを固く誓います。
退職時の念書
退職時に機密事項、データ、取引先情報を外部に漏洩しないという約束を交わす念書の例文です。
最近では、個人情報に関する意識が強くこういった退職時の念書を書かせる企業が多くなっています。

2. 貴社在職中に交付を受けた業務上のデータ、書類および顧客から交付を受けた資料やデータならびにその複製物一切を返還いたします。
3. 上記の違反により、貴社の秘密情報を開示、漏洩、使用した場合、法的な責任を負うものと確認し、これにより貴社が被った一切の損害を賠償することを約束いたします。
無断欠勤の謝罪
無断欠勤をしたときのお詫びと、二度としない旨を約束する例文テンプレートです。
無断欠勤以外の謝罪に関する念書に活用できます。

今後は二度と無断欠勤をしないことをお約束いたします。万が一お約束に反し場合はいかなる処分も受け、不服申し立てはいたしません。
借金の返済用の念書1
借金の返済を約束する念書テンプレートです。
特に条件などはなく、単に返済期限だけを指定したフォーマットになっています。

借金の返済用の念書2(条件付)
借金の返済を約束する念書テンプレートです。
借金の返済期限、年利息、返済方法についての取り決めを念書で交わしています。

2. 年利息 〇〇%
3. 返済方法 令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日まで元利均等分割弁済。
毎月〇〇日 金〇〇〇円 合計〇〇回
(ただし最終回の返済は金〇〇円とする。)
念書とは
念書(ねんしょ)とは、約束事を文書にした書類です。
念書は、契約書に似ていますが、契約書は当事者同士が1通づつ作成し双方が署名、押印して書面を保有するのに対し、念書は1通だけ作成し約束を守る方だけが署名、押印します。
作成された念書は、約束を守らせる側が保有します。保有する側には、署名や押印は必要ありませんが、文書内に氏名を記載しておかなくてはなりません。
念書がよく使われるシーンとしては、労働契約時、退職する社員に機密を守らせる時、ミスやトラブルに対する再発を防止の確認、事故や事件を起こしたとき、などがあります。
念書のフォーマット
念書には決まったフォーマットがありませんが、後で問題にならないように、ある程度必要な項目は抑えておかなくてはなりません。会社によっては、状況別に念書のフォーマットが用意されていることもあります。
念書自体には、強制力や法的な拘束力はありませんが、約束をしたという客観的な事実にはなるので万が一、トラブルで裁判などになった場合には証拠としての効力を発揮します。
念書のまとめ
約束を守る人だけが署名、押印する
法的拘束力はない
裁判などのトラブル時に証拠になる
念書の効力
念書は約束の証拠にはなりますが、法的に強い強制力はありません。
例えば「約束を破ったら100万円を払う」という念書を作成したとしても、約束を破ったとしても相手の口座や預貯金を差し押さえたりすることはできません。
念書が効力を持つのは裁判としての証拠です。念書があれば確実に裁判に勝てるということではありませんが、裁判結果に大きな影響を与えることは間違いありません。
より法的な効果をもたせるには公正証書
公正証書とは、法律の専門家である公証人が、公証人法、民法などの法律に従って作成する公文書なので、念書よりも強い強制力があります。
仮に裁判になったときにも強力な証拠として使われる他、公正証書があれば相手の給与や預貯金を差し押さえることも可能です。
さらに、公正証書は仮に失くしてしまっても公証役場に原本が20年間保存されます。
念書の正しい書き方
念書の正しい書き方として、まず念書には法的に決まったフォーマットというものはありません。
ただし、最低限記載しなければ内容は決まっています。以下の項目を念書に記載することで念書の効力を発揮します。
※念書につけるタイトルは、わかりやすくするためなので特に約束事の内容や効力に影響はありません。
念書に必要な項目
念書の内容によって記載すべき項目は多少変わりますが、念書を作成する際に必要な項目がいくつかあります。以下の基本的な項目を記載しておくと念書としての効力を発揮します。
- 約束をする人の氏名
- 約束をされる人の氏名
- 約束を行う(履行する)日付
- 対象となる場所
- 対象となる内容
- 念書を作成した日付
- 署名、捺印
重要な項目は明確にする
念書では、約束の条件や期日、場所など明確にしておくべき事項がいくつかあります。それらの項目が明確にされていないと、トラブルが発生して裁判になったときなど、不利になってしまうこともあります。
念書が無効になるケース
念書に必要な項目を明記しても、認められないというケースもあります。それは、念書での約束事があまりにも現実的でない、公序良俗に反するような内容の場合です。
例えば、約束が守られなかった場合は犯罪行為を手伝わせたり、無理に結婚させたりといった内容です。通常は、このような強要するような条件は決めないと思いますが、何度も約束を破られてエスカレートしてしまったりすると無茶な内容を作成しがちです
。
契約書・覚書・同意書との違い
念書と意味や役割が似ている言葉として、契約書、覚書、同意書などがあります。これらの言葉はどのように違うのかを解説します。
契約書との違い
契約書と念書の大きな違いは、お互いに文書を所持し合うところです。
契約書は、お互いが決めた約束事をお互いが承認した同じ内容の書類を2通作成し、署名、捺印しお互いに所持し合います。
一方、念書は約束をする側が署名、捺印をする一方的な約束の文書にです。文書は1通だけ作成し約束をさせる側だけが所持します。
覚書との違い
覚書は、契約を交わす前に当事者双方が合意した内容や既にある契約を補足、変更したいときに作成される書類です。契約書などの補助的な役割をする場合が多いです。
覚書は契約書と同様に、お互いに決めた約束事をお互いで承認し、署名、捺印するので同じ権利義務が発生します。
同意書との違い
同意書は、約束かわす前に相手側が条件を出して約束事を取り決める書類です。
相手側が条件を出して約束するなんて、ずいぶん高圧的に感じますが、実際に同意書は「病院での手術前の事前同意書」クレジットカードを作成する際の「個人情報の取り扱いに関する同意書」などに使われます。
念書のよくある質問
重要なのは内容と署名もしくは押印です。署名は本人の自筆でしてもらいます。
民事訴訟法第228条では、
私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
とあることから、署名か押印のどちらかがあれば契約として成立したことになります。
極端な話、チラシの裏に書いた念書でも効力に違いはありません。
しかし、万一裁判になったときに証拠として認められる他、念書を交わしたという事実が相手への圧力にもなるため完全に無駄というわけではありません。
まとめ
念書の書き方や注意事項、テンプレートについて紹介しました。
念書は法的な拘束力は弱いですが、立派な契約書です。念書に必要な項目を盛り込んで効力のある念書を作成してください。
自分で念書を1から作成するのが大変ならば無料でダウンロードできるテンプレートを活用できます。必要な項目は記載されているので、自分の内容に合わせて修正してください。