
督促状(催促状)とは、注文や契約を相手が実行しないときに、確認や実行を促すための文章です。しかし、相手に契約を履行させると言われてもどのような文面で実行を求めればいいのかわかりませんよね。
相手の不注意や失念などの軽い間違いで法的手段など脅すような文面では、相手の心証を悪くし今後の取引に支障がでるかもしれません。
そこで、今回は督促状の文例をいくつかのパターンで紹介します。
それぞれの督促状の文例を入れた無料のワードテンプレートもダウンロードできるので、相手の感情を害さない督促状を作る際に参考になります。
目次
督促状の例文テンプレート
ワード形式の督促状テンプレートを例文付きで紹介します。督促のパターン別になっているので、自分の状況に近いテンプレートを探して、修正することで素早く自分だけの督促状が完成します。
商品代金の支払い
不定期での商品注文を受けたときに、客先から代金が振り込まれないという場合の督促状です。はじめての連絡なので、文面は優しめにしてあります。何度か連絡してもす払いがない場合は、徐々に文面を強くしていく必要があります。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、先般ご購入いただきました弊社製品「○○○○」の代金でございますが、未だにお振込みいただいておりません。
つきましては、来る〇月〇日(〇)までにお振込みいただきますようお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いにお振込みいただいておりましたら、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。
定期的な商品代金の支払い
定期的に毎月商品を提供している取引先から支払いがない場合に使用する督促状の文例テンプレートです。
何月分が支払われていないのか、いつまでが期限で、いつまでに支払ってほしいのかを明記します。こちらも1回目の督促を想定しているので文面は優しめな内容になっています。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素よりご愛顧賜り、誠にありがとうございます。
さて、〇月分の代金でございますが、支払期限の〇月〇日を1週間経過しましたが本日に至っても未だにお支払いを確認できておりません。
つきましては、〇月〇日(〇)までにお振込みいただきますようお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いにすでにお振込みいただいておりましたら、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。
まずは取り急ぎお願いまで。
商品代金の支払い(再督促)
何度か連絡したのに、商品代金が不払いの相手に対する再督促状の文例です。急ぐことを文面から表現するため、挨拶文を省き「前略」~「草々」としています。内容としては、注文した日付や振り込み期限、いつまでに支払うのかを明記しています。
また、再三の督促に対して何の回答もないようなら法的な対応を行う旨を、脅迫にならないように気を付けながら記載します。感情的な文面にならないように何度か読み直して確認することが大切です。
前略 〇月〇日付でご購入いただきました弊社商品「○○」につきまして、お振込みいただきますよう〇月〇日にご請求申し上げましたが、本日に至りましても未だにお支払いを確認がとれておりません。
弊社といたしましても、経理処理上これ以上の遅延は事情が許しませんので、来る〇月〇日(〇)までに必ずご送金ください。期日までにご送金いただけない場合には、誠に遺憾ではありますが、弊社としても法的手段に出ざるを得ません。
なお、本状と行き違いにご送金いただきました節には、何卒ご容赦ください。
注文した商品の納品
商品の注文をしたが、納品期限に納品されなかった場合の督促状の文例です。
ポイントとしては、いつ発注したか、いつ納品予定だったかを明記し、納品がないとどのように困るのかを説明することで相手に行動を促します。
また、こちらが顧客ではありますが行き違いということもあるので、きつ過ぎない表現を心がけます。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、〇月〇日付で発注いたしました「○○○○」ですが、納品期日の〇月〇日を過ぎてもいまだに届いておらず、貴社からのご連絡もいただいておりません。このまま納品がないと、弊社の製造が滞ってしまうため大変困惑しております。大至急お調べいただき、ご回答くださるようお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いにて着荷した場合には、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。
まずは取り急ぎお願いまで。
貸付金のご返済
融資を行ったが、予定の期日に返済がされなかった場合の督促状です。振込が確認できないこと、自社も困っていることを記載します。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、〇月〇日付で貴社にお貸し申し上げました金参百萬円也、ご返済期限の〇月末日を過ぎましても、いまだお振込みが確認できておりません。
貴社も何かと事情はおありかと存じますが、弊社も資金繰りに苦慮しておりますゆえ、早急にご返済願います。
なお、ご送金が本状と行き違いになりました場合は、ご容赦のほどお願い申し上げます。
見積書の発送
商品の見積をお願いしたが、見積書が送付されてこない場合に催促する文面です。
いつ依頼したのか、何の見積もりなのかを明記しておくと相手が調べる手間が省けるので早急に手配してもらえる可能性が高くなります。
見積りが指定の期日までに届かない場合は、別の事業者に頼むとしてもいいでしょう。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素よりご高配を賜り、深くお礼申し上げます。
さて、〇月〇日付で貴社にご依頼申し上げました、「○○○○」の見積書ですございますが、未だにご送付いただいておりません。
〇月〇日に開催する弊社50周年の記念式典に使用する予定ですので、このままでは式典の準備に支障がでる恐れが出てまいりました。
何か手違いがあり遅れているのかもしれませんが、ご確認のうえ〇月〇日(〇)必着にて見積書をご送付くださいますようお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いでご送付いただいていた場合は、ご容赦のほどお願い申し上げます。
家賃滞納時の督促状(個人宛)
家賃を滞納した住人がいる場合の督促状です。個人宛のフォーマットになっています。初回の督促なので淡々と支払いするように促す文書になっています。
前略 平素は〇〇アパートをご利用いただき、誠にありがとうございます。
さて、ご契約いただいております貸室の令和〇年〇月分賃料が未納となっております。
つきましては、下記口座に令和〇年〇月〇日までにお振込みいただきますようお願いいたします。
なお、本状と行き違いにご送金いただきました節には、何卒ご容赦ください。
メールで督促状を送る場合
督促状は文書で送ることが多いですが、対会社で担当者がわかっていればメールですませる場合もあります。事務的なミスの場合もあるので、初回であればメールで簡単に済ませた方が今後の取引的にもいいかもしれません。
件名:【〇〇のお支払いの件】
株式会社〇〇〇〇
〇〇部 〇〇〇〇様
平素より日頃より、格別のお引き立てをありがとうございます。
株式会社××××、営業部の××です。
さて、〇月〇日付にて請求書をお送りいたしました
○○の代金、〇〇,○○○円ですが、
お約束の期限〇月〇日(〇)を過ぎました現在、
ご入金の確認ができておりません。
つきましては、来る〇月〇日(〇)までにお振込み
いただきますようお願い申し上げます。
念のため、〇月〇日付でお送りいたしました請求書を
再度添付させていただきます。
なお、本メールと行き違いでご送金いただいております場合は、
なにとぞご容赦ください。
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署名
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まとめ
今回は、督促状の文例とワードテンプレートを紹介しました。
督促状は、相手の不備に対して要求を行う文書ですが、いきなり喧嘩腰で向かっていってしまうと誤解だったときや、相手に特段の事情があるときなどに関係が悪くなってしまうこともあります。
最初は相手を気遣ったりした文面で、相手の非が濃くなってきた段階で徐々に強めの文章にすることが望ましいのです。
しかし、何度か送る督促状がずっと弱い文章だと、相手に悪意がある場合に要求が満たされなくなることもあるのでバランスが非常に難しいです。
そのため、督促状の使用は相手の対応や状況を見ながら慎重に行う必要があります。