会社の業務中に起こしてしまった重大なミスやトラブル時に始末書を要求されることがあります。始末書を書いた経験がある人は多くないため、どのように書くかわかりませんよね。
そこで、今回は始末書の正しい書き方を見本を参考に解説します。
始末書とは
始末書とは、会社の従業員が、ミスやトラブルを起こしてしまったときに反省と再発防止のために、ミスの詳細と謝罪、対策を文書にしたものです。
始末書を書くことで、ミスの原因を振り返り、今後同じミスをしないように注意するという効果が期待できます。
どのような場合に始末書を書くかは会社によって異なりますが、大まかには
- 事故や機械の破損など会社に大きな損害を与えた
- 社内規定に違反して問題が大きくなった
- 取引先やお客様などに迷惑をかけて会社のイメージや評判を損なった
等の場合に作成することが多いです。
始末書は基本的に社内の上司や社長に提出します。社外ではお詫び状などを提出しますが、まれに顧客や取引先から始末書として提出を求められる場合もあります。
始末書の書き方
始末書には決まった書式フォーマットがないため、自由に書くことができますが、ある程度の指針がないとどのように書いたらいいかわかりません。
以下では、始末書によく使われる項目や基本的な書き方を紹介します。
フォーマット
始末書のフォーマットは、はっきりと決まっていません。ただし、会社規定のフォーマットがある場合には、会社が用意したひな形を使います。そのため、始末書を作成する前にフォーマットがあるか上司や担当の部署の社員に聞いた方がいいでしょう。
以下が一般的な始末書に記載する項目です。項目をきちんと分けずに、反省文のように文章で始末書を書くことも多く、その場合は、以下のような項目を文章に盛り込むと書きやすくなります。
宛先
所属
氏名
トラブルの内容
原因や理由
謝罪や反省
再発防止の誓い
寛大な措置のお願い
始末書を書く場合は、トラブルやミスの重大さを認め、反省するとともに二度と間違いを起こさないように誠意を伝えることが大事です。
日付
日付は、提出日を記載します。ミスや不祥事を起こした日付ではないので注意してください。
宛先
宛先は、会社の場合は代表取締役ですが、大きな組織の場合は支社長、工場長、所長など異なる場合があるので確認してください。
所属
自分の所属している部署名を記述します。
氏名+押印
自分の氏名と押印をします。パソコンで作成しても氏名は手書きの場合もあります。
トラブルの内容
いつどんなミスや不祥事を起こしたのかを最初に記述します。
原因
どうしてそのミスが起こったのかを客観的かつ具体的に記述します。
謝罪や反省
自分の非を認め誠実に謝罪の言葉を述べます。
再発防止の誓い
二度と起こさないように近い、対策ができるならそれも合わせて記述します。
再度の謝罪や寛大な処置のお願いなど
文章の流れや、事の重大さなどを考慮して再度の謝罪や寛大な処置をお願いして文章を締めます。
始末書の見本
始末書を書く時は、このような流れになるのが一般的ですが最初はわかりにくいと思うので、テンプレートなどを活用してどのように書けばいいのか参考にしてください。
宛名
始末書の宛名は、大きな問題の場合は、会社のトップである社長宛にする場合がほとんどです。しかし、組織の大きさや問題の程度によっては、部長、工場長、支店長といった組織の責任者に提出するという場合もあります。
初めて書く場合は、わからないと思うので始末書の提出を求められた人に確認するのが確実です。
使用する用紙
始末書に使う用紙は、無地か罫線の入ったA4もしくはB5サイズが適切です。手書きの場合は罫線が入っている方が字が揃いやすいので整って見えます。
いうまでもありませんが、イラストの入った便箋やカラー用紙、メモ用紙などは使用しないように注意しましょう。
提出するときの封筒
始末書を提出する場合は、始末書を書いた紙をそのまま出してはいけません。辞表を提出するときのように封筒に入れて提出するのがルールです。
作成した始末書を郵便番号欄のない無地の白封筒に入れて表面には何も書かず、裏面にはあなたの所属部署と氏名を書きます。
封筒の大きさは長形の細いものを使用します。
状況別の始末書の例文
始末書は、不始末や不祥事などの問題の内容によって書く内容が変わってきます。以下では実際に状況別に始末書の例文を紹介します。
パワハラ
このような私の行為により、同氏および会社の名誉を著しく傷つけることとなり、誠に申し訳ございません。
今後は、常に相手の立場になって考え、このような不祥事を起こさぬよう十分注意することを固くお誓い申し上げます。
備品、機器の紛失
出張から帰宅後すぐに社員証がないことに気づき、泊まったホテルとイベント会場に連絡しましたが、見つかりませんでした。また、管轄の警察署にも連絡しましたが、現在のところそのような遺失物の届けは無いようです。
この度は会社に多大なるご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。今後このようなことが起こらないよう、社員証の管理を適切に行うようにいたします。
寝坊
また、この結果、職場の皆様に多大なるご迷惑を与えましたことを重ねてお詫び申し上げます。
今後は、自己管理に努め、このようなことがないよう信頼回復に向けて職務に邁進して参ります。
交通事故
私は、〇年〇月〇日午前〇〇時頃、[取引先名]の駐車場にて接触事故を起こしバンパーの一部を破損させました。
今回の事故は取引先の駐車場で車を停車する際、背後の確認を怠ってしまったことが原因です。相手側の車両には人が乗っていなかったため身体的な損傷はありませんでした。また駐車の際、徐行していたため、私の方も怪我はなく車両の損害も軽微でした。先方とはすでに示談が成立しております。
この件につきましては、関係者各位に多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、絶対にこのような不祥事を起こすことのないよう、細心の注意を払って運転に臨み、業務に励むことを固く誓います。
なお、今回の不祥事につきましては、何卒ご寛容なご処置をお願い申し上げます。
作業ミス
私は、〇年〇月〇日、取引先である〇〇〇〇へ送付する請求書の算定金額を間違えて提出してしまい、会社および関係者に多大なご迷惑をおかけいたしました。
今後は、絶対にこのような不始末を起こすことのないよう、細心の注意を払って職務に取り組むことを固く誓います。
なお、今回の不祥事につきましては、何卒ご寛容なご措置をお願い申し上げます。
始末書の例文を記載したテンプレート(word、PDF)については以下の記事を参照してください。
始末書テンプレート12選 | word無料ダウンロード
始末書作成のポイント
始末書作成時のポイントは、とにかく誠意を尽くすことです。誠意があれば、心からの反省と二度と失敗を起こさないという気持ちが伝わります。
- 始末書はできるだけ早く提出する
- 弁明をせず、心からの反省の気持ちを込める
- 再発防止の決意を示し、注意を徹底することを伝える
始末書と顛末書の違い
始末書と顛末書は、トラブルがあった際に作成する文書という意味では同じですが目的が異なります。
まず始末書ですが、従業員の過失やミスに対する記録や謝罪という意味をもちます。それに対し、顛末書は、トラブルの経緯や流れをを説明し、今後の再発防止策や対策などを記した報告書としての目的があります。そのため顛末書に謝罪は不要です。
顛末書:トラブルの経緯、事実+原因、対策、解決策などをわかりやすく
始末書と反省文の違い
始末書と似た意味の文書として、顛末書の他にも「反省文」があります。始末書と反省文の違いは、起こしてしまった不祥事の大きさです。
一般的には、始末書は会社全体や会社の多くの人が迷惑を被る場合に作成するのに対し、反省文はある特定の人に対して作成する場合が多いです。
始末書の宛先が代表取締役などの組織の責任者がほとんどですが、反省文は上司宛ての事がほとんどです。
反省文:軽微なミスや少数に対するミス、上司宛て
まとめ
始末書を書く際に最も重要なのが、誠意を尽くすということです。単に始末書を出せばいいということではなく、起こしてしまった事故の失敗や不注意に心から反省し再発を防止するための提案をするようにします。
始末書に書く項目はある程度決まっていますが、誠意を尽くして作成した内容か、とりあえず言われたから書いた文書はすぐにわかります。テクニックに走らずに心から反省の意を示すことが大切です。